認知症の食事の仕方

認知症になると偏食や食事拒否など食に関する困りごとが付いてきますが、母は脳血管性の認知症なので、まだら認知症の特徴なのか食事を拒否したり、際限なく食べたり、食べ物で遊んだりなどの認知症あるある困った!の現象はありませんでした。

認知症になってからも以前と変わらず、好き嫌いもなく食べていましたので、特に食事に関してのストレスは無かったのですが、食べる量は若干減ってきたかなと感じています。認知症に限らず高齢者になると食べる量が少なくなるようなので、しっかり栄養が摂れるか気になるところです。

母にはその面で困った現象がみられました。

あなたはフランス人ですか?母の食べ方に問題発生

毎回毎回、気合を入れて食事を作るのはハードですので、あるもので栄養のバランスを意識しながら食事の用意をしておりますが、困ったことに認知症になってからは食べ方にある法則が生まれて、その結果栄養が偏るのではないかという懸念が出てまいりました。

万遍なく食べる!が苦手になって野菜不足が気になる

日本ではお馴染みの定食ですが、以前テレビでとても興味深い実験が行われておりました。私たちが定食を食べる時は、ご飯、汁物、メインのおかず、サラダや漬物を交互に食べますが、フランス人が定食を目の前に出されると一瞬困惑しながらも、まずはサラダを完食し、次に汁物を完食しその後にメインとご飯を食べるという特有の食べ方をしていたのです。まるでフランス料理のコースを食べるような順番で食べていたのです。

もちろんフランス人全員がそのような食べ方をしたのではなかったですが、多くのフランス人の食べ方の特徴として紹介されていました。

そして、母が認知症になってからの食べ方が、このフランス食べになったのです。そう言えば、昔「三角食べ」と言って少量ずつを交互に万遍無く食べる食べ方を学校の給食なんかで推奨しておりましたが、現在耳にすることはなくなりましたね。

フランス人に限らず、特に健康を意識して最初に野菜を食べて、メインのタンパク質を食べて、最後に主食を食べる食べ方にこだわっている人もいますし、我が家の娘の食べ方も似たようなものなので、一品一品完食しながら食べるのは珍しくないですが、以前の母は「三角食べ」だったので、好みは変わりませんでしたが食べ方が変わりました。

最初にご飯を完食して、汁物を完食して、メインを完食して、サブを完食してと何故だかわからないのですが、一品を食べ終わてから次の料理に箸をつける食べ方になったのです。

母が凄いのはおかずを食べずにご飯だけをひたすら食べてたりするので(よくご飯だけで食べられるな~と変な感心をしてしまいます)、「おかずも食べようね」と促すこともありますが、基本食べることは自立してますので、私から手や口を出すことは控えて本人に任せております。

その結果何が起こるかというと、お腹がいっっぱいになると、メインに全く箸をつけないとか、サブの野菜料理を全く食べないとか、そんな現象が起きるようになったのです。

これでは、せっかくバランスを考えたメニューでもバランス良く食事を摂ることが出来ない問題が発生してしまうのです。

「おばあちゃんはフランス人ですか?」孫にあたる私の娘たちと談笑しながら、何か対策を講じねばと思案することになりました。

器が原因?ワンプレートが解決してくれた

たまに、丼ものを出す時があります。

器の中にはおかずとご飯が一体化しておりますので、同時におかずとご飯を口に含むことになるのですが、やはり漬物や小鉢は丼を片付けてから箸をのばす現象は相変わらずです。

もしかしたら一品集中食べの原因は器にあるかもしれない。

としたならば、おかずも主食もぜ~んぶ一つのお皿に盛りつけたらどうなるんだろう・・・?そう考えてやってみたのが、一枚のお皿にご飯とメインとサブをのせる方法、いわゆるおしゃれなカフェで見かけるワンプレートです。

結果、まんべんなく食べてます!ご飯とメインのおかずとサブのおかずと交互に食べてます。

作戦が成功です!

お皿完食です!

バランスを考えて作る私の努力も報われて、主食の炭水化物もタンパク質も野菜もその他もろもろが母の胃袋にしっかり収まりました。

お腹がいっぱいになって食べきれなくても、以前のように野菜だけが残る、お肉だけが残るなんてことがなくなりました。

やりました!!! が、あっ汁物が残ってる・・・

食事の工夫あれこれ

認知症になると、食事を拒否したり、際限なく食べたり、食べ物で遊んだりと食事に関する悩みがあれやこれやと出てきます。また、高齢になると嚥下機能が低下しますので誤嚥性肺炎の心配も出てきます。

必要な栄養を摂取することはもちろん大事なことですが、本来食べることは楽しみの一つでもあるので、出来ればお食事タイムを何とかして演出したいですね。

食卓の工夫

食行動は様々でお決まりの解決策は難しいようですが、食事に集中できるような落ち着いた雰囲気で、一緒に食卓を囲んで、声をかけながら、時には手伝いながらも見守る姿勢が望ましいようです。

食べない場合は「なんで食べないの?」ではなく、「お口痛い?」とか「お腹痛い?」とか本人に体調を聞いてみることをやってみたり、母の時のように食器を工夫すると食べるようになったりするみたいです。柔らかく煮たり、大きさを工夫することで食べやすくなると箸が進むようです。

高齢になると口が乾燥しやすくなり食べにくく感じるようです。水分を先に取ると食べやすくなるみたいです。

そして、気をつけなければならないのが、嚥下機能が低下してくると、喉をつまらせたり誤嚥の危険性があります。姿勢やテーブルの高さには工夫が必要でテーブルに手首を乗せて肘の角度が90℃になるのが丁度良い高さのようです。背中にクッションなどを当てて反り返るような姿勢にならないようにすると誤嚥予防になります。

意識して動物性食品を食べる

食が細くなると、栄養が摂れているのだろうか心配になるかと思います。

高齢者になると比較的野菜は摂れていても、たんぱく質の量が足らなくなる傾向にあるようです。タンパク質は筋肉を作る物質ですので、積極的に摂りたい食品ですが、特に動物性の食品を食べなくなくなって、たんぱく質が確保できなくなる割合が多いようです。

動物性食品は少量でも効率良くたんぱく質を補えるので、煮たり蒸したりミンチを利用したり食べやすく調理を工夫して、意識して摂りたい食材です。

逆に両親は高齢になってからのほうが肉を好むようになりました。本能でカラダが欲してくれてるのか単に好みが変わったのかわかりませんが、毎回完食してくれてます。調理する物としては大変助かっております。

まとめ

同じ認知症でも種類によって食行動の特徴があるようです。母のような脳血管性の認知症は食べる意欲はあるものの、嚥下機能の低下で上手く呑み込めないなどが起こるようです。母に関しても食行動には問題がなく、現状の心配は誤嚥と栄養面になります。

アルツハイマー型認知症のほうが食事に関しては深刻なように感じられます。

食事を拒否したり、食べて直ぐ欲しがったり、遊びながらでなかなか進まなかったり、食事の認識が低下し難しさが増していくようです。母が脳梗塞で入院しているとき、病院のデイルームで多くの認知症の患者さんと共に食事をしていましたが、それぞれ食器が違ってたり、スタッフが付ききりで介助したり、声掛けをしたり、患者さんに食事をしてもう為の工夫をいろいろされていました。そんな中で母は介助なく黙々と食べていました。

長い介護生活で多くの時間を費やす食事も病気を理解することで解決につながるようです。あれこれ工夫したことが功を奏して食事の時間を楽しく過ごすことが出来たら介護者にとっても嬉しいですね。