ケアマネの選び方

介護サービスの利用が必要になったら、まずは、ケアマネジャー(介護支援専門員)探しから始めることをお勧めします。

ケアマネジャーの主な仕事は介護サービスを利用するためのケアプランを作成することですが、介護認定を受けるためのお手伝いからお願い出来るからです。

利用者本人と介護者の双方が満足するサービスを受けるために、専門家の立場から、認定の時期や方法、実際に今後必要になるサービスを状況に合わせて相談にのってもらうことがでます。

ケアマネジャーは介護と福祉のスペシャリストですから、様々な問題に対応する知識と経験を備えています。

では、ケアマネジャーはどこにお願いするのでしょうか、自分たちに合ったケアマネジャーをどのようにみつければよいのでしょうか。

私が関わったケアマネジャーさんは、これまで6人です。6人のケアマネジャーとお付き合いして感じたことと、介護サービスを5年利用している経験から気付いたことを元に、ケアマネジャーの上手な探し方を紹介したいと思います。

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーとは介護者の負担軽減や要介護者の自立に向けたサポートを行う介護のプロフェッショナルです。

介護保険サービスを利用したことが無い方は、ケアマネジャーがどのような仕事をしているのか、役割は何なのかなど、具体的に掴めていないのではないでしょうか。

まずは、ケアマネジャーについて紹介してまいります。

医療・福祉のエキスパート

ケアマネジャーの資格を取るには、資格取得条件があります。医療や福祉に関する国家資格を有する者など、既に専門的な知識を得ている人のみがなれる職業です。

ケアマネジャーの資格取得条件
〇特定の公的資格を有する人
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士のいずれかを取得しており、資格に基づく実務経験が通算5年以上かつ900日以上の従事日数がある者。
〇施設などで相談員・支援員などで従事している人
上記の資格者以外で、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、従事機関が通算5年以上かつ900日以上の従事日数がある者。

ケアマネジャーは、医療現場にいた人や福祉現場いた人、又は介護現場にいた人が、ある程度経験を積まないとなれない職業で、元々保有する資格でその人のスキルや強みが違ってきます。

医療や福祉の分野に十分精通した人であることがお分かりになるかと思います。

介護のコーディネートとマネジメント

ケアマネジャーの実際の仕事を見ていきましょう。

利用者本人と家族の相談を受けて、抱える問題を把握し、心身の状態なども考慮したうえで、十分なサービスが利用できるように「介護サービス計画(ケアプラン)」を作成することが主な仕事になります。

本人の自立と家族の介護負担の軽減を実現するために、専門家の立場から最適なサービスは何かを提案し、実行に向けて市区町村や介護事業所との連絡調整を行う云わば介護サービスのコーディネートを行います。

更に、ケアマネジャーの業務はケアプランの作成に留まらず、介護生活全般における課題の解決の為に、自らの経験や技術を駆使し、時には介護者の相談相手となりメンタルのケアなどにも対応します。

利用者本人や家族を取り巻く状況は様々です。家庭の事情や本人の身体の状態など、それぞれが抱える悩みも多岐にわたります。それらを把握し問題の解決に向けて、最良なサービスの提案をはじめ、介護全般に渡り納得のいく環境を構築し支援を行う、介護生活のマネジメントの役割を担っています。

最適な人見つける7つのポイント

ケアマネジャーの業務や役割が理解できたところで、実際にケアマネジャーを探す時点で注意しなければならないのは、ケアマネジャーによって、介護環境が大きく違ってくるということです。

強みやスキルにはバラつきがあるため、提案する内容や問題解決の対応に差が生じるのです。

では、どうすれば満足のいくケアマネジャーに出会えるのか、ポイントを7つに絞って紹介してまいります。

ケアマネジャーに求めるスキルを明確化する

前述しましたが、ケアマネジャーになる以前の職業で得意とする分野が違ってきますから、自分たちが抱える問題と何を解決したいのかを整理し、ケアマネジャーに求めるスキルは何なのかを明確にすることで、納得のいくケアマネジャーに出会う確率が高まります。

具体的に挙げると

  • 介護者の負担軽減のためにデイサービスを利用したい!要介護者が快適に過ごせるように、本人の性格を踏まえた上で事業所を紹介してもらいたい
  • 大病を患っているので、医療知識がある人なら心強い
  • 機能訓練をしっかりやりたいので、各事業所の特徴や強みに精通している人に頼みたい
  • スキルよりも相性が一番!話しやすい人がいい

など、自分たちがどんなサービスを利用したいのか重要視する点を明確にすると、医療知識が豊富な看護師経験者がよいのか、介護福祉士の経験がある介護現場に詳しい人がよいのかなど、ケアマネジャーに求めるスキルが見えてくるのではないでしょうか。

最初にお願いしたケアマネジャーは知り合いでした。デイサービスを利用することが最優先事項だったので、手っ取り早く(ケアマネジャーさんごめんなさい)ケアマネジャーは決めたのですが、元々信頼のおける人柄だったので、即お願いしたのですが、後から分かったのですが、とってもスキルが高くて、介護指導とかもされていて、近隣の介護施設をよくご存じのケアマネジャーでした。

口コミを利用する

もし、知り合いに介護関係者がいれば、「ケアマネジャーを探している」と相談をしましょう。最も確実な方法の一つです。

どんなケアマネージャーが良いのかアドバイスをもらうことで、よりケアマネージャーのイメージが具体的になってきます。

更に、優秀なケアマネジャーを紹介してもらえるかもしれませんし、ネットワークを活用してケアマネジャーの評判を教えてくれることもあるでしょう。現場の人の口コミは、時には外からでは分からないような、本質をついた生の声が聞こえる、とても貴重な情報だったりします。

次に有力な口コミ先として挙げたいのが先輩です。

先輩というのは、既に介護サービスを利用している人のことで、特に利用経験が長く、ご自身でも各種手続きをされているような人がお勧めです。

長く利用している人は、それなりに情報を持っていますし、制度に関しても理解をしていて、ケアマネジャーや事業所の善し悪しも身をもって実感されていますから、利用者サイドにたった見解を聞くことができて、非常に参考になります。

しかし、口コミで評判が良くても自分達との相性が良いとは限らないので、必ず合って話を聞いてから依頼をしましょう。

もし私が相談されたら、知ってる情報の全部をお伝えしたいと思ってます。介護の大変さを実感しているので、皆で協力し合いたいと思うからです。先輩の意見は心強いですよ。

ケアマネジャーが所属する事業所から選ぶ

ケアマネジャーは「居宅介護支援事業所」に所属していますが、希望するケアマネジャーのイメージが具体的なら、それに沿った事業所を見つけてケアマネジャーを依頼してみる方法があります。

例えば、居宅介護支援事業所の形態は、居宅介護支援事業所のみを行っている「独立型」と医療施設や通所介護などのサービス業務も行っている「併設型」がありますが、医療施設を併設している居宅介護支援事業所であれば、医療ケアを得意とするケアマネジャーに出会えるチャンスが増えますので持病がある人には心強いです。

また、大規模事業者なら事例が多く、サービス事業者の情報や多様なケースに対応が期待できるケアマネジャーが見つかりそうです。

すでに、利用したいサービス事業所(訪問看護やデイサービス等)があるのでしたら、併せてケアマネジャーの依頼も出来るかを訪ねてみるのもよいです。

実際に連絡をしてみると、電話の応対の様子で相性が良さそうか、自分たちの意向とマッチしそうかが意外と感じるものです。「初めて介護サービスを利用します。〇〇〇を利用していと考えますが、どこを訪ねたら分からない状況です。そちらの事業所さんはどんなことに力を注いでますか~」というかんじで、介護に対する姿勢などを質問されていると、相性の良い事業所かピンとくるものがあると思います。

まずは気になったら連絡してみましょう。

「居宅介護支援事業所」のリストは、地域包括支援センターか市区町村の介護保険担当の窓口でもらうことでが出来ます。

地域包括支援センターに相談する

介護に関する総合支援を行っている「地域包括支援センター」は、各市区町村が運営する公的機関で、介護保険サービスのナビゲーターのような役割があり、介護認定の受付窓口でもあります。

サービス利用開始の流れや各事業所の情報など不明な点を解決してもらえることができます。

「ケアマネジャーを探しています」と相談すれば、家族の課題の洗出しや、最適なケアマネジャーのイメージを一緒に考えて自分たちに合いそうな「居宅介護支援事業所」を紹介をしてくれます。

近隣の事業所を把握しており、公平な立場で客観的な意見を聞くことができます。

介護関係者の知り合いや、ご自身が知り得た情報と合わせて、ケアマネジャー選びの指針になりますが、正直お役所仕事の人もいますので、お含みおきください。

数人と面談する

実際、ケアマネジャーは良くも悪くもいろんな方がいます。

良さそうだなと思うケアマネジャーがいたら、必ず面談をして話を聞いてから依頼しましょう。面談をしたら契約をしなければならないわけではないので、安心して面談の申し込みをされてください。

これから長いお付き合いをしていきますので、慎重になりたいところですね。面談の際にチェックしておきたい項目をまとめました。とりあえず、これさえ押さえれば失敗も少ないでしょう!ぐらいの参考にされてください。

面談のチェック項目
  • 身分証明の提示がされ、所属事務所の説明がされましたか
  • 身だしなみや、言葉遣いは丁寧で、信用できそうな人柄ですか
  • ケアマネージャーの仕事内容について説明がされましたか
  • 介護保険サービスの内容とケアプラン、自己負担について明確に説明がありましたか
  • 自分たちの不安や課題を、上手に聞き出してくれましたか
  • 解決策の提案が明瞭で、納得いきましたか
  • 質問や疑問には丁寧に答えてくれましたか
  • 経歴は、自分達の希望に適していますか
  • 話しやすそうでしたか

自分達の介護の課題に一緒に取り組んでもらうケアマネジャーには、ある意味家庭の様子をさらけ出すことになりますので、相性がとっても大事になってきます。

もちろん面談は、絶対行わなければならない訳ではありませんが、出来れば何人かにお会いしてから、契約することをお勧めします。

最終手段はこれ!

ここからは、個人的な主観に元ずく話をさせていただきます。

知人からも情報を得たし、地域包括支援センターにも相談に行ったし、数人に直接会って話もしたけど、なかなか決められないという場合は、そんな方に私からのお勧めは、「社会福祉協議会」です。

「社会福祉協議会」は全ての市区町村に存在する機関で介護事業のほかに、様々の福祉事業をしており、事業内容によっては、「社会福祉協議会」のみが行う事業もあります。

福祉事業のプロ集団ですので、ケアマネジャーのスキルが高い方が多いです(絶対ではないですが…)。

たぶん私の推測ですが、研修等が他の機関よりも充実しているのではないかと考えられます。

実際我が家では、両親も義父も「社会福祉協議会」にお願いしましたが、仕事がめちゃくちゃ早いのと、情報量が多いのでとっても満足しています。

他の地域の意見を調べても「社会福祉協議会」の評判は悪くないようです。

あくまでも私個人の意見ですし、優秀な方は他の事業所にも沢山おりますが、迷った末にも決まらないのであれば、一つの意見として参考にされてください。

相性が合わなければ変えていい!

それでも、なかなか決められない人には、「ケアマネジャーはいつでもチェンジすることが可能」と、お伝えいたします。

同じ事業所内で担当を変えてもらうことも出来ますし、別の事業所のケアマネジャーに変えることも可能です。

私事ですが、前述したお勧めの社会福祉協議会所属のケアマネジャーがどうにも相性が良くなくて、というか、仕事の進め方に納得がいかずに、同じ社会福祉協議会の中で、別の人に変えてもらったことがあります(後任のケアマネジャーさんには大満足です)。

ですから、ケアマネジャーの介護生活に与える影響力は確かに大きいのですが、慎重になりすぎてなかなか決められないのであれば、一番相談しやすそうな人にひとまずお願いをしてみてはいかがでしょうか。

サービス利用を開始した後も、情報収集を続けて、どうも納得がいかないようでしたら、変えてみる!という選択肢もありだと思います。

まとめ

介護保険をこれから利用する人にとっては、ケアマネジャー選びは、大変労力を要する作業です。

介護サービスを利用したいけど、進め方や流れが分からないと、なかなか手続きが前に進まず、後になってもっと早く利用すべきだったということもありがちです。

誰に相談すればよいのか分からなかったら、まずはお住いの市区町村の介護保険の担当窓口に相談されるとよいです。出来るだけ早い段階で介護サービスを利用することは、ご本人の自立や家族の負担軽減につながっていくことは間違いありません。

迷ったり悩んだら、地区の担当者にお声をかけてみてください。

ひとりで抱え込まないでください!経験者からのお願いです。