デイケアとデイサービスの違い我が家では、父が最初に介護認定を受けて、介護サービスの利用を開始しました。

転倒して脳挫傷を起こし、回復期には脚に大けがを負って、杖歩行になってからは、大好きだった家庭菜園も出来なくなってしまい、すっかり外出する機会が減ってきたのが気になって、介護サービスを利用することになったのです。

まだ、介護サービスのことがよく分からなかったので、ケアマネジャーさんとの最初の打ち合わせも、要領を得ず、何の目的で利用したいのか、どんなサービスを利用したいのかが、全く明確でなっかたものですから、ケアマネジャーの話も上手く呑み込めず、とりあえず、ケアマネジャーの薦めるデイサービスに通うことになりました。

脚の負傷以来、歩行に不安があったのですが、ケアマネジャーさんにちゃんと相談できたのは、3回目ぐらいにお会いした時だったと思います。

その時デイケアの説明をしていただいたのですが、ケアマネジャーさん曰く、当初からデイケアにも触れたかったそうですが、私たちの条件に合うデイケアがなかったので、あえて詳細な説明を省略したとのことでしたが、私がいっぱいいっぱいで理解が追い付かないことを見越して、気を遣ってくださったんだと思います。

結局、訪問リハビリを利用することで落ち着いたのですが、当時デイサービスとデイケアの違いもよくわからず、ケアマネジャーさんに丸投げだったのを反省し、今回はその違いについて詳しく説明したいと思います。

デイサービスとは

デイサービスとデイケアはどちらも在宅で生活されている人が利用できる通所型介護サービスです。似たような名称ですが、目的や内容が異なります。

デイサービスは「通所介護」といいます。

デイサービスの目的

まずは、介護保険法に基づく「通所介護」の基本方針を見ていきましょう

 (基 本方針)
第九十二条   指定居宅サービスに該当する通所介護(以下「指定通所介護」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅にお いて、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消 及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十七号)

父がデイサービスを利用したきっかけは、引きこもりまではなっていませんでしたが、外出する機会がめっきり減って、人とのコミュニケーションが無くなっていく様子が、気になったからでした。

最初はデイサービスに行くことに難色を示していましたが、次第に他の利用者さんとも打ち解けるようになり、今では率先してデイサービスに持っていく荷物を準備しています。

スタッフの方にもとても親切にしていただき、昭和ひと桁生まれの男性の心をくすぐる対応に、父も満足しているようです。

おかげで私も週3日の利用で、体と心の負担が減り、空いた時間は映画やショッピングに出掛けることもあります。

デイサービスの持ち味

デイサービスを利用して最も良かった点のひとつが、入浴サービスです。両親とも歩行に問題を抱えていたので、私が介助しての入浴は、困難極まりない作業ですので、入浴サービスはとてもありがたいです。

デイサービス施設にはそれぞれ特徴があります。

出来るだけ家で家族と過ごしているようなアットホームな雰囲気づくりに特化しているところ、理学療法士さんや作業療法士さんを揃えて機能回復訓練に特化しているところ、利用者さんの生きがいを見つけられるように趣味やレクリエーションに特化しているところなど、施設によってカラーがあり、利用者のニーズに合った選択が出来るような環境が施設の特徴として整備されています。

両親が利用しているデイサービスは、機能訓練に力を入れている施設です。専属の作業療法士がおり、器具を使った訓練も行われております。

本当は後述で紹介するデイケアを希望していたのですが、我が家は地域的にデイケアにまだ恵まれておらず、利用することが叶わなかったのです。当初は仕方なく、近隣のデイサービスで最も機能訓練に力を入れている施設を利用することになりましたが、トータル的に今の施設が良かったととても満足しています。

更に父は、週に1度は別なデイサービスも利用してます。理学療法士・作業療法士が数名常駐する施設で、入浴や食事のサービスはなく、半日のみの利用ですが、ガッチリと機能訓練をやっていただけるので、悲鳴を上げる利用者さんもいるようですが、幸い父は嫌がらずに通ってくれているので、リハビリには最適な施設です。

そして、デイサービスによっては、歯科検診や身体の簡単なチェックを行ってくれる施設もあり、家族としては非常にありがたいです。

最後に嬉しいところをもう一つ!送迎がついているところです。自宅まで迎えに来てくれて、車に乗せてくれて、帰りはちゃんと送り届けてくれて、万が一私の帰宅が間に合わなくても、部屋の中の椅子に座らせてくれるのです。

デイサービスの1日

デイサービスの1日利用時の流れです。半日利用のコースもあります。

・施設に到着後、体温・血圧等の測定し体調のチェックを必ず行います。

・午前中に入浴サービスを行う施設が多いようです。

・サービスの内容は事業所によって異なりますので、詳細は事業所にお問い合わせ願います。

 

両親が通うデイサービスは、午前中に個別に機能訓練を行って、午後の休憩の後に体操や集団での機能訓練を行うことが多いようです。全員で行うレクレーションは特に実施していないと言ってました。機能訓練に力を入れているので、レクレーションは時々イベント的に行っているようです。

デイケアとは

デイケアは「通所リハビリテーション」と言います。

デイケアの目的

こちらも介護保険法に基づく「通所リハビリテーション」の基本方針を掲載いたします。

(基 本方針)
第百十条   指定居宅サービスに該当する通所リハビリテーション(以下「指定通所リハビリテーション」という。)の事業は、要介護状態となった場合においても、その利 用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを 行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十七号)

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が医師の指示を元に、専用のリハビリ室で直接機能訓練を行ってくれるので、病院でリハビリをしながら、食事をしたり、お風呂に入ったりするようなイメージですね。

デイサービスが安全に快適に楽しく過ごせるような施設なのに対し、デイケアは治療に近い体のメンテナンスを重点に行う施設です。

しかし、デイケアの施設数はデイサービスに比べるとかなり少ないので、特に地方は我が家のように利用したくても利用出来ない環境下に置かれることもあります。

父が介護サービスの利用開始時にデイケアを希望したのは、父の歩行障害を何とか回復させたいと考えたからでしたが、残念ながら、いづれのデイケアも我が家は送迎の対象地域外だったのが、断念した最大の理由でした。毎回往復70分の送迎は厳しいと判断しました。

デイケアの持ち味

なんと言っても、医師がいて専門のスタッフがいて、専用の機械や器具が備えてある環境でリハビリが行えます。定期的に身体機能の測定を行い、評価にもとづいてリハビリの計画をたてて実行していきます。

特に脳梗塞で後遺症が残っている人には、絶対利用して頂きたいサービスです。

病院、診療所又は介護老人保健施設のみが開設できる施設ですから、万が一の時は迅速に対応を行ってもらえる環境にあるので、体調に不安がある人にも安心して利用することが出来ます。

デイサービスと同様に食事や入浴のサービスを備えている所も多く、介護も行ってくれるので、1日生活を送ることが出来きます。嚥下機能低下の予防の取り組みも行っているようですので、誤嚥性肺炎が気になる高齢者には、嬉しい内容です。

デイケアも送迎を行っておりますので、我が家のように地方在住(それもかなりの山間地)でない限り対応をしていただけます。

利用者さんが楽しくリハビリが行えるように各施設がそれぞれ工夫を凝らしているようです。辛くて厳しい機能訓練ではなく、遊びも取り入れながら苦しくない機能訓練を実施することで、気持ちよく機能の回復や維持が図れるのがデイケアです。

デイケアの1日

デイケアを1日利用したときの流れです。

・施設到着後に体調のチェックを行います。

・入浴サービスがあるところは午前中に行うのが多いようです。

・リハビリは、集団又は個別の形態で午前も午後も行っているようです。

・レクレーションも機能訓練の一環として行われるようです。

デイサービスと比べると、デイケアのほうが半日コースを設けている施設の割合が多いようです。

こちらも詳細は、事業所にお尋ねになられてください。

どちらを利用する?

簡単に違いを説明すると、デイサービスは日常生活のお世話をするところで、デイケアはリハビリを行うところです。

脳卒中後の後遺症などで身体的に機能が低下している状態の人や高次機能障害と診断された人、その他の機能障害などがあって、リハビリを行うことで明らかに機能の改善が得られる人、または期待する人にはデイケアをお勧めします。また、病態が不安定で不安を抱えている人もデイケアをお勧めします。

デイケアは治療を行う施設です。医師が常駐し専門のスタッフによる指導のもと、デイサービスよりも充実したリハビリを受けることが出来ます。また、医療機関に併設されているので、身体の変化に迅速な対応をしてもらえる点は、退院後間もない人や病状が安定してない人にも、安心して過ごすことが出来ます。

それ以外のひとで、身体機能は現状を維持出来ればよいと考えている人、生きがいやコミュニティ作りを希望する人、介護者の負担軽減にと利用を考えている人、自宅での入浴が難しい人などは、デイサービスがお勧めです。

デイサービスはデイケアに比べて、事業所数が多く、それぞれがアクティビティなどにも工夫を凝らし、施設ごとに特徴があるので、利用者に合う施設を見つけやすいという利点があります。

逆に、デイケアは数が少ないので、合わないからと他のデイケア施設に移るのが難しいことがあります。ストレスを我慢しながらリハビリの為にと通うのは、かえって利用者の負担になってしまい通所拒否につながりかねません。もし、身体状態が安定していて、機能訓練もある程度で良しと考えるなら、選択肢の多いデイサービスが良いかなと思います。

それから、費用もデイケアよりデイサービスのほうが掛からない点も、身体機能が落ち着いている人にデイサービスをお勧めする理由の一つです。

まとめ

両者の違いを説明しましたが、選択を間違えると、サービスを利用するメッリトが生かされないばかりか、かえって本人や家族の負担が増える可能性がでてきます。デイサービスとデイケアの違いはしっかり理解しておきたいです。

しかし、なんだかんだ言っても、最も重要視する点は、利用者本人が気持ちよく喜んで通ってくれるかどうかです。

デイサービスもデイケアも施設ごとに環境や雰囲気が違いますので、ケアマネジャーさんに利用者さんの性格や好みを話されて様子を伺ってみるとか、可能なら見学に行かれてみるのも良いかと思います。事前に予約すれば、食事の試食なんかもお願い出来るようです。

また、通い始めたがどうにも馴染めない場合は、事業所の変更が出来ますから、まずは利用を開始してみてはいかがでしょうか。

私の父は、一度施設を変更していますし、以前は週3回の利用を同じ施設で過ごしていましたが、現在週1回は機能訓練に特化したデイサービスに変更しています。

介護者の負担軽減のためにも、いずれかの施設を必ず利用してほしいと私からお願いしたいのが通所型介護サービス(デイサービス・デイケア)です。