私の介護生活が始まった原因は、母が脳梗塞を発症したからです。
幸い手足の麻痺は出ませんでしたが、脳血管性認知症になり食事を作る、掃除をする、洗濯をするという家事全般に支障をきたし、私の協力なしでは日常生活を送ることが出来なくなりました。(本人は全く困っていないので困っていますが(笑)
脳梗塞を含む脳卒中は、1980年代まで日本人の死因の第1位でしたが、医療の進歩により第3位に後退はしたものの、介護生活がスタートする要因疾患の第1位は脳卒中です。
今回は脳卒中の中でも発症が一番多い、脳梗塞を引き起こす危険因子をまとめました。
脳梗塞は普段の心がけで十分予防できる病気です。母も予防が出来たのではないか・・・と振り返ることがしばしばあります。
母のような人が一人でも減り、同時に私のような介護生活に突入する人が一人でも減るように、脳梗塞にならないための心得です。
目次
脳梗塞を起こしやすい生活習慣病
脳梗塞を予防するために重要なのは、原因となる生活習慣病にならない、もしなってしまったら悪化させないことが必要になります。
まずは、脳梗塞の原因となる生活習慣病をみてきいきましょう。
高血圧症
血圧が高い状態が続くと、血管内の壁に強い圧力がかかり、血管に負荷がかかった状態が続きダメージを受けると動脈硬化になります。
動脈硬化が脳梗塞という病の幕開けになるのです。
動脈硬化になった血管は血栓が出来やすくなり、脳内の血管を詰まらせ脳梗塞に至ります。
母も血圧が高めでした。食事には気を使ってましたが、定期受診はしていなかったようです。過去を悔やむ理由がきちんと受診して血圧を管理していたら違ったのではないかと思うからです。
糖尿病
糖尿病は高血圧症に次いで脳梗塞の引き金となる生活習慣病で、脳梗塞になった人の半数近くが糖尿病にかかっています。
前述しましたが、脳梗塞は動脈硬化により血液の流れが悪くなって起こる病気ですが、糖尿病は動脈硬化の進行を早めてしまいます。
血糖値が高いと血管内に塊(プラーク)が出来やすくなるため動脈硬化が進行すのですが、血糖値が高くない「糖尿病予備軍」の段階から動脈硬化が既に進行し始めているといわれていますから注意が必要です。
脂質異常症
以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、血液中のコレステロールや中性脂肪の量が増えた状態をいいます。
増えた脂質が血管内に少しずつたまって血管内に塊(プラーク)を作っていき動脈硬化になっていきます。
約700万人の患者数がいるといわれていますが、特に脂質異常症は自覚症状が見られないために健康診断等で発見することがほとんどです。
放置するとやがて脳梗塞の危険が伴い取り返しがつかないことになります。
不整脈
不整脈とは脈がゆっくりだったり、早かったり、不規則だったりする状態を指しますが、脳梗塞の原因となるのが心房細動です。
心臓が細かく動くだけで収縮が十分行われず、心臓内に血栓(血の固まり)が出来てしまい、その血栓が頭に飛んでいって脳内の血管を詰まらせ脳梗塞を発症させます。
心房細動を誘発する期外収縮は脈が不規則に打つようになる症状ですが、30歳を超えるとほぼ全員に見られ、年齢とに共に増加していきます。
ストレスや睡眠不足、疲労が期外収縮を悪化させますので、規則正しい日常生活をおくることが予防につながります。
生活習慣病以外の危険因子
喫煙
タバコに含まれる有害物質は、血管を収縮させ血圧の上昇、心拍数の増加をもたらし、酸素の運搬を妨げ、更に動脈硬化を防いでくれる善玉コレステロールを減らし、これらが動脈硬化をますます悪化させて脳梗塞の原因となっていきます。
また、喫煙は期外収縮を増加させたり、糖尿病のリスクも高まることがわかっています。
禁煙により脳卒中の危険度は禁煙後2年で低下し、5年で非喫煙者と同レベルになるといわれています。
肥満
肥満が原因で高血圧症、糖尿病、脂質異常症の生活習慣病が引き起こされることはかなり知られるようになりました。
肥満の方に多い運動不足が動脈硬化の悪化にもつながります。
内臓脂肪が蓄積させると動脈硬化を防ぐ物質が分泌されにくくなることもわかってきました。
運動不足
脳梗塞の予防は、まず動脈硬化にならないことてですが、その要因となる生活習慣病のリスクは運動をすることでかなり抑えられることはすでに周知されていると思います。
運動により血管の弾力性が上がり、動脈硬化を進行させにくくします。
運動不足の人は週3~4日運動をする人に比べて脳卒中を発生する割合が20%高くなるという報告もあります。
脳梗塞の要因として軽視できないのがストレスと睡眠不足ですが、運動にはストレスの軽減や不眠症の改善にも効果があります。
水分不足
脱水状態になると、血液のドロドロが加速し血管が詰まる要因となります。
脳卒中は寒い時期に血管が収縮して血圧が上昇しやすい冬に多い病気のイメージですが、実は脳梗塞は暑い夏の時期のほうが発症が多いことがわかっています。
夏は気付かぬうちに脱水症状がすすんでいることがあります。意識的に水分補給を心がける必要があります。
特に気にしたいのは血圧と水分と運動
母は脳梗塞を3回起こしています。
その経験から、特に注意をしなければならない点を挙げてみました。
「血圧が高め」でも要注意!
高血圧は最も注意しなければならない脳梗塞の危険因子ですが、注目してもらいたいのは、母は高血圧予備軍の状態に長年いたということです。
最高血圧が140mmhg前後で、常に気を付けましょう!の数値だったのですが、医師からは降圧剤の処方はなく、毎回食事と運動の指示がでていました。
毎年健康診断を受けていましたが、血圧の数値もいつも同様140前後だったので、定かではないのですが、最初に脳梗塞を起こす2、3年前ぐらいからは、診察を受けていなかったのではないかと思います。特に血圧以外には異常がみられなかったのと、高齢になり長い時間待たされる診察が億劫になったのではないでしょうか。
服薬するほどの高血圧ではありませんでしたが、長い期間に渡って血圧が高めの状態が続いたことにより、母の場合も徐々に動脈硬化が進行し、脳梗塞にいたったようです。
母は、本人の自覚が全くないところで、「無症候性脳梗塞」と「微小出血」が頭の中でおこっていましたが、もしかすると、その影響で診察の必要性の判断が鈍っていたことも考えらえられます。
血圧が高めな人は、気付かないところで合併症がでているかもしれないと疑って、本人がすでに判断能力が曖昧になっているかもしれないことも疑って、周りの人が注意して診察を促してあげていただきたいのです。
服用するまでではない高血圧予備軍は、ややもすると事態を軽視されやすい危険がありますので、服薬していない人ほど要注意!高血圧に対する意識を緩めずに、診察を怠らず医師の判断や指示を受けましょう。
水分不足と運動不足
母は脳梗塞を3回おこしてます。
1回目は軽症で、麻痺もなく機能障害もさほど気にならない程度でしたが、2回目、3回目と再発のたびに重症化し、右半身が思うように動かなくなりました。
再発したときの当時の様子を振り返ると、水分不足と運動不足が大きな要因となっているよに感じられます。
脳梗塞は発症の仕方に季節が関係するといわれています。寒い冬に発症しやすいのかと思っていましたが、夏が一番多いようです。
母も2、3回目は夏に発症しました。
最初の脳梗塞後は、散歩する筋力や体力がまだありましたので、家の周りを歩いたりしていましたが、暑さが厳しくなり散歩をする機会が減って、1日中家の中で過ごすことが多くなってきた頃に2回目の脳梗塞を発症しました。
3回目は、発症する10日ほど前に風邪をひいて3日ぐらい寝込んでいたら足腰が一気に弱ってしまい、日に3回家の廊下を歩いて徐々に戻ってきたかなと思っていましたが、トイレの回数がやけに少ないのが気になって、水分が足らないかもしれないと水分補給を多めにしようと考えてた翌日に脳梗塞が起きました。
降圧剤や再発予防の薬の管理や食事にも気を遣っていましたが、最大の要因は水分不足と運動不足だったと感じてます。
夏に発症率が高いのを実感いたしました。
水分補給も運動も意識して行っていたのですが、一度脳梗塞になると再発しやすい状態に体がなっていますので、し過ぎなのかもしれないくらい注意を払わなければならないと思いました。
まとめ
脳梗塞の予防は可能だと考えてます。母が発症してから自分になりに脳梗塞の理解に努めてきましたが、発症した当時を振り返ると、もっと知っていたなら、ちゃんと取り組んでいたなら防げたであろうことが、いくつも挙げられるのです。
もし、まだ発症しないで済んでいられる方は、「自分は大丈夫だろう」ではなく「自分もなるかもしれない」と意識をもって、ご自身や家族の生活をチェックしていただき、実行していただいて、脳梗塞による介護生活のスタートの回避につなげていただけたらと願います。
生活習慣病は絶対に放置しないでください。